SAPEの原色スーツコーディネート

ファッションはモノが豊かな場でこそ可能な表現手段と考えられています。欧米といった先進国がファッションの源泉となっているのは、衣服にお金や思想を投じるだけの余裕があるからといえます。そのため、途上国ではファッションとは無縁だと思われがちです。

しかし、自己の主張をファッションでおこなう人々が、途上国の一つであるコンゴ共和国を鮮やかに彩っています。彼らはSAPEと呼ばれる人々で、独自のスタイルを貫いているファッショナブルな集団です。SAPE(サペー、またはサップ)とは「Society for the Advancement of People of Elegance」の略称で、「エレガントで愉快な仲間達の会」を意味する頭文字から名付けられた造語です。

彼らはヨーロッパの 有名ブランド の洋服や靴を身に付け、貧しい地区であるコンゴの首都ブラザビルを華やかに闊歩します。原色を用いたスーツスタイルは3色でまとめるのが鉄則であり、派手な配色を上手にコーディネートするのが彼らの流儀です。

赤道直下に住まうアフリカ人の彼らは肌の色が黒く、それゆえに発色の強いアイテムは肌から浮くことなく体に調和しています。エレガントな服そのものに決して着られることなく、ハイセンスなアイテムを難なく着こなす姿はとてもファッショナブルに映ります。

しかし、SAPEのスタイルは現地で暮らす人々から批判的に捉えられることもあります。SAPEが暮らすコンゴ共和国には砂埃が舞い散り、赤道直下の大地に降り注ぐ日差しはとても強く、気温も30度を超えるのが当然の場所です。 スーツ を着ているだけで汗にまみれることは避けられず、我慢してまでオシャレをするスタイルに苦笑する人もいれば、途上国の町並みから浮いて映る派手なスタイルを冷ややかに見つめる人もいます。

では、裕福とはいえない国で、なぜこのように華やかなスーツスタイルが存在しているのでしょう。時代はさかのぼり、フランス占領下の当時にSAPEは生まれました。ヨーロッパの白人が持ち込んだ上品なファッションに、現地の人々が強い刺激を受けたのが始まりです。

先進国のスタイルを参考にして独自の進化を遂げ、やがてSAPEと称されるファッションは築き上げられていきます。斬新に映る原色のスーツコーディネートは、最近になって突然現れたものではなく、60年以上の過去から続く歴史があるのです。

西洋の刺激を受けて生まれたコンゴ共和国のファッション文化は、占領という暗い歴史が起源となったからこそ、原色を主体とした強いメッセージ性のあるスタイルを無理にでも着ようとして広まったのかもしれません。

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カテゴリー:世界のファッション

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